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2012年9月24日 (月)

私たちのちいさな家

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西陣に帰ってきました。

 

同居人くんがイギリスから帰国し、京都で仕事を始めるにあたって、家を探していたのですが、当初、「街中のマンションでいいや」と言っていた彼も、あるおうちと出会い、「やっぱり西陣に戻ろう」ということに。

かつて暮らしていた町屋と比べると、本当に小さな町屋だけど、

風のわたり方や、日差しの加減はやっぱり同じ。

外は暑いのに、一歩入るとひんやりしているところや、

格子から漏れる光のやわらかさ。

 

木曜日から引っ越し作業に入っていた同居人くんを追いかけて、私は金曜日の仕事終了後、最終の新幹線で京都に向かう。

ホテルの名前じゃない行き先を告げることの安心感。

西陣の夜は早い。真っ暗な入り組んだ路地の奥にぽっと灯ったあかり。

がらがらという引き戸の音。

一旦荷物を置いて、近所のコンビニに出かける。かつて、初めて西陣に暮らしたとき(そのときはアパートだった。それから同居人くんと一緒に暮らすために町屋に引っ越したのです)と同じ最寄りのコンビニ。店の前には高校生がたまっている。そして、職業不詳の住人たち。

 

一夜明けて、さっそく二人で朝ご飯を買いにパン屋さんへ出かける。これまたかつてよく来たお店。西陣は夜が早いかわりに、朝の始動も早い。土曜日だけど、子供たちがパン屋さんのまわりを駆け回っている。

近所のスーパーに行くと、以前と同じ人がレジ打ちをしている。「こんにちはー」「今日は涼しいねぇ」というふうに、なにげない会話が流れていく。何も変わっていない。三年離れていたはずなのに、何も変わっていなくて、時間が止まっているよう。いまの自分を忘れそうになる。あの頃の、手持ちぶさたで、けれど、何も持っていなかった自分を思い出す。

 

土曜日の夜は、引っ越し作業に明け暮れて、気づいたら九時前。ぺこぺこのお腹を抱えて、二人で紫明通りに出来た焼き肉屋さんへ。木屋町のAが新しく出した北店なのだ。この焼き肉屋さんもまた(木屋町の本店のほうだけど)、私にとっては思い出の店。いつも通りのオーダーを入れると、同居人くんから「もう、なんというか、フォーマットが決まってんのな」と笑われる。タンユッケに生セン、ホソ塩、赤センタレ、ハラミタレ、ラストの〆はツラミのタレ焼きにチゲスープとご飯。店のお兄さんたちの客さばきも、店内の活気も本店と同じ。京都特有の、接客の距離。

 

翌朝。西陣の朝。7時には人が動き始める。その声を聞きながら目を覚ます。大家さんが様子を見に来てくれたり、ひっきりなしにやってくる宅配業者のお兄さんとしゃべったりしながら、のんびりと時間がすぎていく。西陣という町はとても不思議で、なんというか、ここだけで完結している。排他的というわけじゃない。入ってくるものを拒むことはたぶんない。時間の流れがとても独特で(ゆっくりしている)、そのゆったりとした時間の無為さ加減が、ほかの地域からこの土地を切り離しているように私には思える。仕事とか出世とか、なんというかそういうことがどうでもよくなってしまう感じなのだ。そして、間違いなく、この無為な時間に私や同居人くんはかつて守られてきた。そのことを思い出す。

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ちなみに、いまの私たちを守ってくれているのは、この守り神。うちの玄関の上に鎮座ましましております。

 

 


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